1. 各種指標による評価

 中国科学院の主要な付属研究所を選定するにあたり、次の3つのカテゴリーの10個の指標でランキングに入った数を数え、多い順にリストアップした。

 使用した3つのカテゴリーの合計10個の指標について、具体的な指標名を下記に列挙する。

○研究所の規模に関する指標 詳細は、こちらを参照されたい。
・各研究所の職員数 
・各研究所の年度の予算額 
・各研究所で受け入れている研究生(大学院生)数 

○研究所の研究開発力に関する指標 詳細は、こちらを参照されたい。
・各研究所の国家重点実験室等の設置状況
・各研究所の大型共用施設等の設置状況
・NSFCの面上予算獲得状況

○研究所の研究開発成果に関する指標 詳細は、こちらを参照されたい。
・Nature Index
・特許出願数
・研究成果収入
・両院の院士数

順位研究所名職員数予算額研究生数実験室共用施設NSFCNature特許成果収入院士数合計数
1大連化学物理研究所10
2金属研究所 9
3合肥物質科学研究院  8
4自動化研究所   7
4物理研究所   7
4高エネルギー物理研究所   7
7長春光学精密機械・物理研究所    6
7深圳先進技術研究院    6
7長春応用化学研究所    6
7プロセス工学研究所    6
7化学研究所    6
12半導体研究所     5
12生物物理研究所     5
12上海マイクロシステム・情報技術研究所     5
12宇宙情報イノベーション研究院     5
12上海光学精密機械研究所     5
12海洋研究所     5
18瀋陽自動化研究所      4
18西北生態環境資源研究院      4
18地理科学・資源研究所      4
18マイクロエレクトロニクス研究所      4
18生態環境研究センター      4
18微生物研究所      4
18上海珪酸塩研究所      4
18地質・地球物理研究所      4
18国家天文台      4
18上海薬物研究所      4
18上海高等研究院      4
29上海技術物理研究所       3
29植物研究所       3
29動物研究所       3
29西安光学精密機械研究所       3
29情報工学研究所       3
29福建物質構造研究所       3
29寧波材料技術・工学研究所       3
29遺伝・発生生物学研究所       3
29上海有機化学研究所       3
29理化技術研究所       3
29力学研究所       3
29分子細胞科学卓越イノベーションセンター       3
29国家宇宙科学センター       3
42声学研究所        2
42光電技術研究所        2
42数学・システム科学研究院        2
42蘭州化学物理研究所        2
42工程熱物理研究所        2
42分子植物科学卓越イノベーションセンター        2
42近代物理研究所        2
42大気物理研究所        2
50計算技術研究所         1
50地球化学研究所         1
50広州地球化学研究所         1
50精密測量科学・技術イノベーション研究院         1
50理論物理研究所         1
50ソフトウェア研究所         1
50宇宙利用工学・技術センター         1
50武漢ウィルス研究所         1
50昆明動物研究所         1
50上海応用物理研究所         1
50国家授時センター         1
50海南研究所         1
50深海科学・工学研究所         1
中国科学院の各研究所のランキング

2. 具体的な研究所の選定

 上記のランキングを中心として、104か所ある中国科学院の付属研究所の中から、合計26か所の研究所を選定することとする。全体104か所の4分の1が、26か所となる。

(1)指標によるランキングからの選定

 上記1.の各種指標によるランキングで、5個以上の指標でランキング入りした研究所17か所は、本HPで全て取り上げることとしたい。

 具体的には、次の17研究所である。
・大連化学物理研究所   遼寧省大連市、化学物理
・金属研究所       遼寧省瀋陽市、金属材料
・合肥物質科学研究院   安徽省合肥市、核融合・レーザ科学など
・自動化研究所      北京市、ロボット・人工知能など
・物理研究所       北京市、物理学
・高エネルギー物理研究所 北京市、高エネルギー物理学
・長春光学精密機械・物理研究所  吉林省長春市
・深圳先進技術研究院   広東省深圳市
・長春応用化学研究所   吉林省長春市、ゴム・液体燃料・レアアースなど
・プロセス工学研究所   北京市、冶金・鉄鋼生産
・化学研究所       北京市、化学
・半導体研究所      北京市、半導体
・生物物理研究所     北京市、生命科学 
・上海マイクロシステム・情報技術研究所  上海市、電子情報通信
・宇宙情報イノベーション研究院  北京市、宇宙航空
・上海光学精密機械研究所 上海市、光学精密機械
・海洋研究所       山東省青島市、海洋科学技術

(2)地域と分野のバランスを考慮

 上記(1)の指標によるランキングだけでは、地域と分野が偏っている。この点を考慮したい。

① 地域

 まず地域のバランスである。

 中国を地域別に大別する場合、下図のように、華北(北京市、天津市、山西省、河北省、内モンゴル自治区)、東北(吉林省、遼寧省、黒竜江省)、華東(上海市、江蘇省、浙江省、山東省、安徽省、江西省、福建省)、華西(湖北省、湖南省、河南省)、華南(広東省、江西チワン族自治区、海南省、香港、マカオ)、西北部(陝西省、甘粛省、寧夏回族自治区、新疆ウイグル自治区、青海省)、西南部(重慶市、四川省、雲南省、貴州省、チベット自治区)の7地域に分けられる。

中国の各地域詳細
中国地域区分地図 「旅行のとも、Zen Tech」 より引用


 上記(1)で選定された17研究所を、地域別にリストアップすると以下の通りとなる。
○華北(8か所) 自動化研究所、物理研究所、高エネルギー物理研究所、プロセス工学研究所、化学研究所、半導体研究所、生物物理研究所、宇宙情報イノベーション研究院
○東北部(4か所) 大連化学物理研究所、金属研究所、長春光学精密機械・物理研究所、長春応用化学研究所
○華東(4か所) 合肥物質科学研究院、上海マイクロシステム・情報技術研究所、上海光学精密機械研究所、海洋研究所
○華南(1か所) 深圳先進技術研究院

 従って、(1)で選定された17研究所の中には、華西、西北部、西南部にある研究所が1か所も入っていない。また、上海の研究所は全体で15か所あるにもかかわらず、2か所のみとなっておりバランスが良くない。

② 研究分野

 中国科学院では、研究分野を数学・物理、化学、地球科学、生物、技術科学の5分野に分類している。(1)の17研究所の主たる研究分野を示すと下記の通りとなる。

○数学・物理分野(2か所)  物理研究所、高エネルギー物理研究所
○化学(3か所) 大連化学物理研究所、長春応用化学研究所、化学研究所
○地球科学(1か所) 海洋研究所
○生物(1か所)生物物理研究所
○技術科学(10か所)
・物質・材料(3か所) 金属研究所、合肥物質科学研究院、プロセス工学研究所
・宇宙(1か所) 宇宙情報イノベーション研究院
・電気電子情報(2か所) 半導体研究所、上海マイクロシステム・情報技術研究所
・機械、光学(3か所) 自動化研究所、長春光学精密機械・物理研究所、上海光学精密機械研究所
・先進科学技術(1か所) 深圳先進技術研究院

 これで見ると、数学・物理分野で数学、天文の両分野が全く選定されていない。また、地球科学分野と生物分野が非常に少ない。

③ 追加の研究所の選定

 上記①、②を勘案して、追加の選定を行う。

 まず、華西、西北部、西南部の地域に属する研究所で、ランキングや分野を勘案して、次の3か所を選定した。
・武漢ウィルス研究所  華西の湖北省武漢市 ランキング50位、生物
・西北生態環境資源研究院  西北部の甘粛省蘭州市 ランキング18位 地球物理
・昆明動物研究所  西南部の雲南省昆明市 ランキング50位 生物

 また上海が少ないため、次の1か所を追加した。
・上海珪酸塩研究所  上海市  ランキング18位  セラミック材料

 次に選定数の少ない分野として、天文、数学、環境研究、地球科学の各分野で、次の4か所を追加した。
・国家天文台  北京市 ランキング18位 天文学 
・数学・システム科学研究院 北京市 ランキング41位 数学
・生態環境研究センター  北京市 ランキング18位 生態環境
・地質・地球物理研究所 北京市 ランキング18位 地球科学

 最後に、日本との協力関係が深い研究所の代表として、東京大学医科学研究所と共同研究室を有する次の1か所を追加した。
・微生物研究所  北京市 ランキング18位 生物

④ 追加による地域と研究分野のバランス

 ランキングで17位までに入った研究所に加え、9か所の研究所の追加による地域バランスは、華北(13か所)、東北部(4か所)、華東(5か所)、華南(1か所)、華西(1か所)、西北部(1か所)、西南部(1か所)となった。上海市も3か所となった。

 一方、9か所の研究所の追加による研究分野のバランスは、数学・物理(4か所)、化学(3か所)、生物(4か所)、地球科学(4か所)、技術科学(11か所)となった。